ミドリムシは「虫」じゃない!特徴やメリットを解説
株式会社ユーグレナの協力で羽鳥まりえさんが描かれた「ミドリムシは植物ですか?虫ですか?」という漫画があります。連載当時、Twitterなどでも大きな話題になりました。
今回は「ミドリムシは「虫」じゃない!特徴やメリットを解説」ということで、ミドリムシが虫じゃないということを説明したうえで、ミドリムシの名前や虫に間違われてしまった自ら動く特性について解説します。実は、こうした特性も健康食品としての大きなメリットにつながっていたんです。
この記事を監修した専門家
管理栄養士 阿部友美
【経歴】十文字学園女子大学卒業後、管理栄養士を取得。同大学で研究助手をしたのち、食品メーカーにて健康に関する情報発信や、共同研究先大学に出向し研究に従事。糖化反応によるメラニン産生作用を発見、特許出願。化粧品の開発にも携わる。
目次
1.ミドリムシは植物ですか?虫ですか?
ミドリムシってとてもシンプルでわかりやすい名前ですが、誤解されやすい名前でもあります。「ムシ」という名前から昆虫をイメージしてしまって、どうしても抵抗を感じてしまうという方もいらっしゃいますよね?
ミドリムシは虫ではなく藻
名前に「ムシ」とついていることから、ミドリムシは昆虫やイモムシなどと同じ仲間と勘違いされがちです。ユーグレナの正式な分類は、「ユーグレナ植物門ユーグレナ藻綱ユーグレナ目に属する鞭毛虫の総称」といいますが、ここでも「虫」がついていますね。最近は健康食品や化粧品としてミドリムシの商品がテレビや雑誌で紹介されていますが、「虫」だと勘違いしている方は(虫を食べたり、皮膚に塗ったりするなんて無理・・・)と思う方も。
ところが、結論を言えばミドリムシは虫ではありません。ワカメや昆布などの藻の仲間です。ですので、イモムシや昆虫とは全く異なる種類の生き物なんです。
ではミドリムシは植物ってこと?
虫じゃないならミドリムシは植物ってこと?って普通は考えてしまうんですけど、そういうわけでもありません。分類については、生物学の学者の方々が長年議論されていますが、今の考え方としては動物でも植物でもないという考えが主流になっています。
「ミドリムシは藻!分類上は植物?それとも動物?」
※こちらの記事は未監修となります。
動物でも植物でもない生き物なんてあるの?ってビックリされるかもしれませんが、実は私たちのとても身近なところにもそういった生き物はあります。それはキノコの仲間です。キノコは植物に似ていますが、木や土などから養分を得て生きているので植物とは違う仲間なんです。
ちなみに、以前は「30品目をバランスよく食べるのが健康に良い」といわれていましたが、最近は4つのグループ(動物・植物・菌類・藻類)を毎日食べるのが重要という考えがあります。ミドリムシは厳密にいえば植物というわけではないんですが、健康的な食生活のための大事なグループの一員ということに変わりはありません。
ミドリムシは海外では「ユーグレナ(美しい眼)」
「ミドリムシ」という名前を誰がどんな風に命名したのかは明確な記録が確認できませんでしたが、ミドリムシという名前は、日本国内での名前です。
ミドリムシは英語では「ユーグレナ」という名称で呼ばれています。学名もユーグレナです。ユーグレナとは「美しい眼」を指しています。ミドリムシのサプリや商品名に「ユーグレナ」という名称がよくつかわれているので、耳にしたことがあるかもしれませんね。ミドリムシを顕微鏡で見ると、眼のような赤い点が見えます。実際には眼ではなく光を遮るサングラスのような役割をする器官です。
ミドリムシという名前とずいぶんイメージが異なりますよね。ユーグレナという名前を付けたのは、17世紀のオランダの学者さんで「微生物の父」とも呼ばれるレーウェンフックという方です。顕微鏡を作り、微生物や赤血球を発見した人として知られています。
ワカメや昆布の仲間で、「ユーグレナ」という名前なら、だいぶ抵抗も薄れるのではないでしょうか?
ミドリムシは動物と植物の両方の栄養をもっている
理科の授業で、「ミドリムシは自分で動きまわって、光合成もする生き物で、動物と植物の両方の特徴を持っています」と習ったことを覚えてますか?不思議な生き物だなって思った覚えがおぼろげながら残ってる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この特性、栄養素の面ではすごく私たちにとってメリットのあるポイントになっています。というのも、ミドリムシは動物が多く含んでいる栄養素と植物が多く含んでいる栄養素を兼ね備えているんです。「ミドリムシだけ摂取していれば必要なエネルギーがほとんど摂れる」といわれるのも、ミドリムシが非常に多くの栄養をバランスよく兼ね備えているからです。ミドリムシが持っている栄養素はビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類にも及びます。
「ミドリムシの栄養素はなんと59種類!栄養成分を徹底解説」
※こちらの記事は未監修です。
虫のように動くミドリムシの特性に実は大きなメリットあり!
栄養が豊富で虫じゃないと頭では分かっても、動物みたいに動く生き物はちょっと・・・
とまだ抵抗が消えない方はいらっしゃいますか?とはいえ、ミドリムシが虫のように動くことはとっても大きなメリットもあるんです。
というのも、通常植物には細胞壁といわれる細胞を守る硬い殻があります。細胞壁の鎧は、植物が大きく成長するためには不可欠なものですが、栄養の摂取ということで考えると私たちにとってデメリットにもなります。というのも、細胞壁のおかげで私たちが野菜や果物を食べる場合、栄養の吸収率が40%程度になってしまうんです。
ミドリムシは、自分で動き回るのでこの細胞壁がありません。ですので、栄養吸収率93.1%という野菜の栄養を持っている食品としては類まれな吸収率を誇っているんです。
2.まとめ
ミドリムシは虫じゃありません。今のところは、厳密にいえば植物でもありません。ワカメや昆布などの藻類の仲間です。
藻類の仲間というのは、抵抗を和らげてくれる効果もありますがもっと大きなメリットもあります。今、健康のためには動物、植物、菌類、藻類の4つの仲間を毎日摂取することが良いといわれていますが、藻類を毎日摂取するのはちょっと難しそうですよね。
またミドリムシの不思議な特徴は、栄養吸収率を高めてくれたり、動物と植物の両方の栄養を持っていたりするなど、栄養素としてもとても大きなメリットがあります。抵抗感が小さくなったら、ぜひ毎日の健康のためにスタートしていただきたいと思います。