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「ミドリムシで世界を救います」

ミドリムシでおなじみのユーグレナ社。
ユーグレナ社は、東京大学出身の出雲社長が立ち上げ、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功した会社です。
主にミドリムシを使ったサプリメントや健康食品、化粧品を販売しており、「人と地球を健康にする」をスローガンに活動しています。
最初は、ミドリムシが健康食品や化粧品?ってびっくりされた方も出雲社長の東京大学時代の研究、会社をつくったきっかけを知れば、いろんなことが納得できるかもしれませんよ。
ここでは、ユーグレナ社がどのような会社なのか。また、出雲社長は当時、大量培養が難しかったミドリムシになぜ着目し、成功させることができたのか。
きっかけは出雲社長の学生時代の衝撃的な体験だった、というお話などをご紹介します。

管理栄養士

この記事を監修した専門家

管理栄養士 阿部友美

【経歴】十文字学園女子大学卒業後、管理栄養士を取得。同大学で研究助手をしたのち、食品メーカーにて健康に関する情報発信や、共同研究先大学に出向し研究に従事。糖化反応によるメラニン産生作用を発見、特許出願。化粧品の開発にも携わる。

目次

・ユーグレナ社って?
・ 出雲社長の経歴とユーグレナ社立ち上げのきっかけ
・まとめ

1.ユーグレナ社って?

ユーグレナ社って?
ミドリムシの商品化に成功したのは東京大学発ベンチャーのユーグレナ社です。
まずはユーグレナ社について見ていきましょう。

ユーグレナ社って?

ユーグレナ社は世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功し、主にミドリムシの商品開発・研究を行っている会社です。
実は、ミドリムシが健康に良い魅力的な成分を持っていることは1980年代から知られていたんですが、ミドリムシを大量に生産することはどこもできませんでした。
理由としては、ミドリムシの栄養価がとても高いため、他の微生物などにとってごちそうとなり、培養しようとすると他の微生物に食べられてしまう、ということが一番の原因だったそうです。
ユーグレナ社は独自の技術によってミドリムシの屋外大量培養に成功し、健康食品や化粧品などの商品開発を実現することができました。
ミドリムシを使った商品は今とても身近なものですが、ユーグレナ社の活動や研究のおかげで、私たちはミドリムシを手にできるようになったんです。

ユーグレナ社の活動内容

ユーグレナ社のスローガンは「人と地球を健康にする」です。
その目的を果たすために、さまざまな研究や商品開発、他の会社とのコラボレーションを行っています。

・食品(一般食品、健康食品)
・バイオ燃料(ジェット機の燃料やバスの燃料など)
・化粧品
・その他の事業(工場排水処理事業など)

私たちにとって身近なのは健康や美容の分野ですが、ミドリムシを使った燃料で飛行機を飛ばす計画もあり、ユーグレナ社は100年先の地球と人を見据えた活動を行っているんです。
ミドリムシの豊富な栄養が世界の人々にいきわたり、ミドリムシを使った燃料で飛行機が飛ぶ…
そんな未来が訪れるかもしれないなんて、ミドリムシの限りない可能性を秘めていることが分かりますよね。

2.出雲社長の経歴とユーグレナ社立ち上げのきっかけ

ユーグレナ社を立ち上げたのは、出雲充さんという方です。
出雲社長がミドリムシの会社を立ち上げることになった経緯は、社長自らが衝撃的な体験をしたことがきっかけだそうです。

出雲社長の経歴

出雲社長は1980年に広島県で生まれ、東京大学を卒業後、ユーグレナ社を創業しました。
ミドリムシの商品は東大発のベンチャー企業が作った、と聞いたことがあるかもしれませんが、まさに東大出身の出雲社長を中心として出来上がった会社なんです。
出雲社長は、大学卒業後に銀行に就職しますが、1年で退職し、アルバイトで生活費を稼ぎながら会社設立の準備をされたそうです。

きっかけはバングラデシュ留学

出雲社長がユーグレナ社を立ち上げる大きなきっかけになったのが、18歳の時のバングラデシュ留学です。
当時学生だった出雲社長は、そこで飢餓や貧困を目の当たりにします。
バングラデシュでは、野菜や肉、魚などの食品が足りていないため、子どもも大人もたんぱく質やミネラルが不足し深刻な栄養失調に直面していました。
バングラデシュの子どもたちは、栄養不足のために体調が悪いことが多く、集中して勉強することも難しい状況でした。また、将来的に貧困を解決するための勉強もなかなかできない、という悪循環になっていたのです。
このバングラデシュでの体験が衝撃的だった、と出雲社長はインタビューなどで語っています。

大学時代の研究

出雲社長は、最初東大の文系の学科に入学しますが、途中で農学部に転部しています。
当初は国連に入って世界から飢餓や貧困をなくすことを目標としていたのですが、バングラデシュからの帰国後、出雲社長は飢餓や貧困を解決するための勉強をすることを決意しました。
それから、後に一緒にユーグレナ社立ち上げのメンバーとなる同じ東大の鈴木健吾氏から、「植物と動物の両方の特徴を持ったミドリムシが貧困を解決できるかもしれない」ということを教えてもらいました。鈴木健吾氏は、農学部在籍で、ちょうど研究テーマがミドリムシだったそうです。
ミドリムシが商品化されるには、このようにいくつかの幸運も重なっていたんですね。
後に、出雲社長自身、ミドリムシの栄養素や培養の方法について研究を行い、その結果「ミドリムシで世界を救う」と確信が持てたことが会社の設立につながったそうです。

出雲社長の夢と今後の展望

出雲社長が思い描いているのは、ミドリムシが世界の貧困やエネルギー問題を解決する未来です。
なんだかとても難しそうな感じがしますが、59種類の栄養素を含むミドリムシが必要な栄養素を補うことで、栄養失調問題を改善したり、ミドリムシの燃料で車や飛行機を動かしたりすることで石油枯渇などの問題を解決することです。
今、ミドリムシを使った食品やサプリメントが少しずつ浸透していますが、まずは日本でますますミドリムシが浸透することを考えているそうです。人々がミドリムシの入った豊富な栄養素を含む食品を食べ、ミドリムシの飼料を食べて育った魚や動物のお肉を食べ、ミドリムシのドリンクを飲んで、ミドリムシの燃料で動く乗り物に乗る・・・
当初、バングラデシュの貧困を目の当たりにした時の「飢餓や貧困を解決したい」という出雲社長の気持ちを実現させようとしているのが、まさにミドリムシなのです。
また、ミドリムシの研究の発端となったバングラデシュの貧困についてですが、すでにユーグレナ社はバングラデシュにてユーグレナクッキーを配るなどの事業を行っています。こういった活動はこれからもどんどん継続、拡大していくそうですよ。

3.まとめ

ミドリムシを研究・開発しているユーグレナ社とその社長である出雲充氏について紹介しました。
どんな会社、どんな人がどんな想いで作った商品かを知ることで親しみもわき、信頼も高まると思います。ミドリムシが世界を救うかもしれない、なんて事実にとてもびっくりされたのではないでしょうか?
ちなみに、化粧品は世界の問題の解決に直接関係がなさそうに思えますが、食品と並んでユーグレナ社の大きな柱に育っています。研究の結果、ミドリムシの成分が美容にとても良いのが分かったことで化粧品に活用されていますが、化粧品での収益がミドリムシの開発に活かされる、という好循環も生まれています。
ユーグレナ社の計画では、2020年から、ますますミドリムシが日本の人々の中で浸透していき、大きく広がっていくためのきっかけになる年ということです。その時がいよいよ間近に迫っている感じですね。
可能性を大きく秘めたミドリムシやユーグレナ社の今後の展開にも注目しながら、ミドリムシの商品にも親しみを感じてもらえたらと思います。

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